ご相談例

統合失調症

ご相談例

統合失調症 20代男性

訪問開始前

中・高校でいじめにあい、10代中盤で発症しています。
家族への暴力や器物破損から、家族が家庭教師の名目で人を雇い、自宅監視的な対応を行っていました。しかし、暴力抑制を暴力で行うことや、精神科の受診も世間体から行わず、未治療状態が長く続いた事から家庭内暴力の収拾がつかなくなり、本人を無理やり一人暮らしさせていました。
生活能力のない本人は生活が出来ず、人づてに当事業所に連絡あり、当事業所より精神科病院紹介し入院となりました。

以後、入院の際に関わったジョイント職員が、月に数回面会を繰り返し、入院治療を見守っていきました。内服を開始する事で、徐々に症状は落ち着いていきましたが、副作用の顕在化もあり、入院治療や内服調整は2年を要しました。
その間もジョイント職員は面会を繰り返しましたが、家族は本人から受けた暴力の恐怖や、病気に対する嫌悪感もあり、全く面会していない状態でした。そのため、状態は改善しても閉鎖病棟から異動する事も出来ず、外出や外泊もままならない状態でした。

ジョイント職員が父親、家族と面会し、病気の症状とそうでないことについて時間をかけて説明し、入院を継続することで、本人の人生を奪ってはいけない事を繰り返し伝え、家族の理解を待ちました。
暫くして、父親より自宅付近に近づかない事を前提に「同伴で外出してあげて欲しい」と希望あり、主治医の許可を得て短時間の同伴外出を繰り返しました。
外出時は鏡の前で数十分立ち止まったり、頻回の確認行為などの行動もありましたが、繰り返す事で外出にも慣れ、そのような行動も減少しました。ジョイント職員も可能な限り時間をとりながら、本人の希望する祭りの見学や、成人式への参加などの場面を共有し、信頼関係を深めていきました。
そうした事のひとつひとつを、家族に伝える事で家族の安心に向け、試験外泊をしてみる方向性で家族と意見が一致しました。

家族の緊張や不安を軽減するために、試験外泊時はジョイント職員も本人の自宅近くに宿泊し、緊急時にいつでも対応できるように待機しました。しかし、家族の心配は杞憂に終わり、内服治療が奏功したことを家族が実感したことで、約3年の入院生活は終わりを告げました。

訪問開始後

週3回の密な訪問看護を繰り返しながら、日々の心情の吐露と整理を行い、退院から4年たった今も家族への暴力は一度も認ありません。本人も作業所へ通所しながら、ジョイント職員とともに充実した人生を送りたいと話しています。